放課後になるや否や、梨緒は陸上部のウェアに着替えることなく、いつもの空き教室へと向かう。
そして、男の命令通り、眼前のモノに舌を這わせ、唇を寄せていた。
梨緒は、はしたない声を誤魔化すように、肉塊を口腔にしまい込む。
──みっともなく喘ぐのを聞かれる前に、目の前のものを扱いて早く終わらせる。
そんなことを大義名分にして、梨緒の舌と唇が、いっそう艶めかしく動いていく。

【男】「へっ。まったく、自分の彼女をこんなになるまで放っておくなんて、
    てめェの彼氏はホント、どうかしてんなァ」

【梨緒】「……っ……灯夜のこと、悪く言わないで……」

挑発され、頭に浮かんだのは、やはり自分を好きだと言ってくれた男性の、愛くるしい顔。
しかし彼を想っても、もはや喉の渇きが収まることはなかった。
焦り。そして、一向に満たされない口腔。
熱さも、硬さも、荒々しさも、舌と唇で嫌というほど味わっているはずなのに、
何かが足りなく感じてしまう。

頬をみっともなくへこませながら竿を熱心にしゃぶり続けるうちに、
愛する相手のことは、頭から消えていた。
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