しかし、彼には裏の顔があった。
優しい素振りをして女性スタッフに近づき、信頼を得たところで弱味を握り、強引に自分のものにするのだ。
実際、この店にもそうやって性奴隷とした女性スタッフが何人かいる。
……その日、2人の女子校生がバイトの面接にやって来た。主人公はそのうちの1人に目をつけた。
大人しそうではあるが、その反面、内には類い稀な淫蕩さを秘めている……そのことを見抜いた主人公は、この新しい獲物を辱めるため、様々な想像を巡らせ始める……。
彼に女性を侮蔑する気持ちはない。そんな、人間関係が存在することを前提とした行動などできはしない。路傍の石を侮蔑することなどできないようなものだ。 そして他人を支配下に置くことも望んではいない。どのようなものであれ、他人と関係を築くということは煩わしいもの以外ではあり得ない。 そんな彼がウェイトレスに対する凌辱行為を始めたのは、店長である五十嵐の言葉がきっかけだった。五十嵐は言った。 ――世の中がつまらなければ、階段を作ってやればいいだけさ。真っ平らな道を進むよりは、眠気覚ましにはなるだろう。それに、段を一つ上がる度に前に進んでいることを実感できる。それがたとえ十三階段だったとしても。 五十嵐に説得された訳ではないが、南条は動き始めた。心の奥底にぽっかりと空いている、訳の判らない空洞を満たすために。 その先に何が待っているかは知らない。それは、これから確かめることだ。 *** その日、2人の女子校生がバイトの面接にやって来た。学校で同じクラスだという2人の名は、鷺元春菜と苫原なつきという。大人しく清楚な印象を受ける春菜と活発で積極的な感じのなつきは、対照的なコンビだった。 *** 春菜は、なつきにほとんど無理矢理連れられて面接にやって来た。彼女としては破格の冒険だった。校則ではバイトは禁止ということになっている。生真面目な彼女の性格としては、校則を破るなんてもっての外だった。それでも面接に来ることを決意したのは、1人では不安だという親友に頼み込まれたためだったが、それ以外にも理由があるような気がしていた。 彼女には兄がいた。7つ年上の兄のことがとても好きで、小さな頃からずっと付き従っていた。今は引っ込み思案になってしまったが、昔は兄とばかり外で一緒に遊んでいた。その兄も、3年前に消息を絶ってしまった。 彼女は、自分が女の子であるということを今ひとつ認識できないでいる。自分が女の子であり、異性から欲望を向けられる存在であるという考え方にうまく馴染めないでいる。 それは、子供の頃から兄とばかりいたからかも知れない。そのせいで、自分の性別を男――とまではいかなくても中性的な存在だと誤認してしまっているのかも知れない。いや、それよりも―― 春菜は考えていた。自分はもういなくなってしまった兄に囚われすぎている。自分は兄としか特別な関係を結ぶことができないのではないか――そんな考えが、春菜の意識から異性を遠ざけさせているのかも知れない。 だから春菜はなつきの頼みに応じた。そんな状態から飛び出さなければならない。何か行動を起こさなければならない。自分は変わらなければならない。 そう考えて、彼女は面接に赴いたのだった。 *** 鷺元春菜と苫原なつき。その2人のうち、南条は春菜に目をつけた。大人しそうではあるが、その反面、内には類い稀な淫蕩さを秘めている……そのことを見抜いた彼は、この新しい獲物を切り刻むため、様々な想像を巡らせ始める……。 *** 空洞の男と兄に囚われた少女。華やかなファミリーレストランを舞台に、2つの孤独な魂を巡る凌辱劇が始まる―― 華やかな制服の下で、女たちは甘美な疼きに沈みゆく――